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健康づくり

ウォーキングのすすめ

大阪府医師会 理事 武田 温裕

「歩くことは健康に大事ですよ」「運動で一番良いのは歩くことですよ」などと医師から勧められた経験を持つ人は多いと思います。本当に歩くことは重要なのでしょうか。

最近よく言われるメタボリック症候群の最良の対策は歩くことです。しかし、高齢の人はメタボリック症候群より骨粗しょう症の方が心配だと思います。実際、太りすぎの人は、若くても過度にダイエットすると骨粗しょう症を引き起こします。既に糖尿病や高脂血症で治療している場合を除き、高齢でメタボリック症候群気味の人は、その予防とともに骨粗しょう症の対策を立てなければなりません。

メタボリック症候群を予防するための運動とは、いわゆる有酸素運動です。一般に、運動中は脈拍を1分間に120まで上げ、休息を取った時に少し汗ばむ程度が適当と言われています。ウォーキングなら、気の合った人と楽しくおしゃべりをしながら、川辺や住宅街などを「散歩より少し速めに歩く」というイメージです。しかし、高齢の人の場合は少し異なり、ウォーキング中でも脈拍が100を超えると危険なケースがありますので心臓がドキドキしない程度で歩いてください。また、心臓や肺など他に持病がある人は医師とよく相談してください。

一方、骨粗しょう症の予防には筋力の増強が必要です。まず筋肉を強くし、その力がかかることで骨を強くするのです。このため、骨粗しょう症の予防策は多くの薬よりも筋肉の強化が有効です。少し工夫して大地を踏みしめるように歩きましょう。やや歩幅を広め、足の運びを確実に、一歩一歩を感じながら歩くのです。このようにすると転倒予防にもなります。

ウォーキングに大切なのは、歩いたという充実感です。高齢の人にとって、ノルマを設けて、そのためにする運動は健康を害するばかりでなく、危険な事態を招くことにもなりかねません。特に、現在病気の治療中の方は、かかりつけ医に相談し自分に合ったウォーキングを楽しみましょう。

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