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健康づくり

高齢者とインフルエンザ

大阪府医師会理事 伊藤 尚之

インフルエンザは、例年11月下旬から12月上旬にかけて流行が始まりますが、大阪でも既に昨年末から、一部の地域において報告されました。

インフルエンザは、いわゆる風邪と同様、発熱や咳、鼻汁が数日間続きますが、39℃以上の高熱であることが多く、関節痛、筋肉痛、涙や眼の痛み、特に高齢者では肺炎や気管支炎などの合併症を伴い、重症化しやすいため注意が必要です。さらに、インフルエンザは、流行性感冒(流感)と言い、「流行って」数多くの人を巻き込むということからも、風邪とは別格と考えらえています。

予防は、風邪の場合と同様に、外出から帰宅後に、うがい・手洗いを行うとか、睡眠を十分にとるということになります。また、インフルエンザウイルスは、空気が乾燥して気温の下がる冬場に活動して流行するウイルスですので、水分を十分にとり、室内の乾燥を避け室温をやや高めに保ち、風呂上がりには冷えないようにするなどして、インフルエンザウイルスに都合の良い環境を避けることも大切です。

さらに、インフルエンザワクチンは発病をほぼ確実に阻止するほどの効果は期待できませんが、症状が重症化しやすい65歳以上の高齢者には予防接種をお勧めします。

また、高齢者では高血圧症や糖尿病などの慢性疾患を基礎に持っている人も多いため、インフルエンザにかかった時には、それらの疾患の悪化を防ぐ目的からも、早期に医療機関を受診してください。最近は、インフルエンザウイルス抗原を検出するための検査キットの普及により、外来などで、短時間での診断が可能となり、さらに、抗ウイルス薬による有効な治療についても、かかりつけの先生とよく相談して受けていただくとよいでしょう。

いずれにせよ、高齢者では早い備えと対応が重要であると考えます。

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