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健康づくり−元気いっぱい! 生きがい生活

免疫力を食事で高める

大阪府医師会理事 山本 時彦

我々の体には、毎日たえまなくさまざまな異物(ウイルス、細菌など)が侵入してきます。これらに負けずに健康を保つため、体の中ではいつも戦いが行われています。その戦う力が免疫力です。高齢になれば、体の抵抗力も落ちてきますので、若い時以上に、しっかりと免疫力を高める食事を取ることが必要です。今回は、その食事を紹介したいと思います。

野菜には、抵抗力を高める成分が多く含まれています。特に淡色野菜と言われるダイコン、キャベツ、タマネギ、ニンニクなどを加熱したり、すりつぶしたり、みじん切りにしたりして食べるのが効果的です。もちろん、緑色野菜にも同様の効果があります。

次にシイタケ、シメジ、マイタケ、エノキタケといったキノコ類は、発ガンを抑え、過剰なアレルギー反応を調整します。また、みそには、発ガンを抑制する物質が含まれていると言われていますので、シイタケや前述の野菜などの具をたくさん入れて、みそ汁にして飲むのが良いと思います。なお、みそには塩分が多く含まれていますので、減塩みそを使用するのが良いでしょう。

サバ、イワシなどの青魚ですが、良質のたんぱく質そのものが免疫細胞をつくり、中に含まれる成分が血液をサラサラにし、血行を良くします。加熱すると成分が損なわれますので、できたら酢の物、マリネなどにして食べると良いでしょう。食後のデザートでは、ヨーグルトに含まれる乳酸菌、ビフィズス菌が腸内の悪玉菌を排除し、消化・吸収を促進させます。バナナ、リンゴ、イチゴなどの果物にも免疫を高める効果があります。また、ドリンクでは、ポリフェノールを含む緑茶、赤ワインなどが老化や発ガンを抑制します。

このように普段、我々が口にしている食物の多くには、免疫力を高める作用があります。これらの食物をバランス良く組み合わせて、毎日おいしく食べることが大切です。

正しい服用・点眼を

大阪府薬剤師会理事 近藤 直緒美

今回は患者さんからよく質問を受ける使い方についてお答えします。

1.漢方薬の正しいのみ方

漢方薬は安心、副作用がない、というイメージがあり、新薬と併用もできるため、のんでいる方も多いと思います。

漢方薬はコップ1杯のやや多めの水でのんでください。また、お湯に溶かしてのむ方法があります。これはお薬の吸収を良くし、効果を高めます。

漢方薬はほとんどの場合、食前または食間にのむように指示されます。食前とは食事の30分以上前のことです。食間とは、よく勘違いしている人がいますが、食事中という意味ではなく食後少なくとも2時間ぐらいたってから、食事と食事の間にのむことです。どちらも胃の中に食べ物の入っていない空腹の状態です。

漢方薬の成分の多くは空腹時にのむ方が速やかに効果の出るものです。しかし、味や香りが苦手で食前にのむと気分が悪くなったりする人もいます。また八味地黄丸など実際に胃に負担のかかりやすい漢方薬もあります。その場合は遠慮なく医師や薬剤師に相談してください。例外として痛み止めなど即効性を期待してのむような漢方薬もあります。このような場合は食後であっても症状が出たらのむように指示されます。

最後に漢方薬は高温、多湿を嫌います。缶などに入れて暗いところで保管するのがよいでしょう。

2.目薬の正しいさし方

「どれくらいの量をさしたらいいの?」「2種類さす時はどれくらい間隔をあけたらいいの?」これもよくある質問です。目薬をさすときはまず、上を向き、下まぶたを少し引っ張ります。容器の先がまぶたやまつげにさわらないよう目頭のほうに1、2滴落とします。確実に目に入れば1滴でじゅうぶんです。

点眼後は約1分間目を閉じ、まばたきをしないでください。このとき目頭を押さえると薬が鼻や口に流れ出るのを防ぐことができます。

また薬が目にしみこむには5分ほどかかります。ですから2種類以上の目薬をさすときは5分以上間隔をあけるのが理想です。

この他にも、お薬の使い方で疑問に思うようなことがあれば遠慮せずに薬剤師に聞いてください。

大切な「口腔」の健康管理

大阪府歯科医師会理事 深田 拓司

口腔機能

口は食べるための器官であるだけでなく、話す器官でもあり非常に重要な感覚器です。特に食べることと、話すことは、人が人として生きていくうえできわめて重要な営みではないでしょうか。摂食・嚥下は生命維持にかかわる重要な生理機能です。また言語機能も人が社会生活を営んでいくうえで欠かせません。

口腔の健康

口腔の健康とは1984年にWHOが健康について定義したように口腔が良い状態にあることです。良い状態とは口腔が持つ役割が十二分に発揮できる状態にあることです。口腔の役割は主として「食べる」「話す」「呼吸する」「情動を表現する」ことです。

口腔の健康と全身の健康

「口は健康(病気)の入り口、魂の出口」と昔から言いますが、最近の研究では、歯周病など口腔の疾患と糖尿病や骨粗しょう症・心臓病・脳血管障害など生活習慣病や気道感染との関連性が重要視されています。口腔の健康は全身の健康と密接に関係しあっています。

誤嚥性肺炎

厚生労働省の統計によると、肺炎は日本人の死因別死亡率の第4位、男性に限ると第3位で、肺炎による死亡の92%は65歳以上の高齢者で占められています。65歳以上の発生する肺炎の大部分が誤嚥性肺炎であり、知らずしらずのうちに健康をむしばみ、生命まで脅かすことがわかってきました。高齢の方の嚥下反応(飲みこみ反応)が衰え、気管に食物・飲み物・唾液等を誤嚥(本来は食道にいくものが、気管にはいる)し、その結果、いわゆる誤嚥性肺炎を引き起こします。また老人性肺炎の原因菌はおもに口の中の細菌で、細菌数が多ければ多いほど、たくさんの細菌が肺に入り肺炎を引き起こしやすくなります。ですから誤嚥性肺炎を予防するためには日々、十分な口腔内(歯・のど・舌等)、義歯(入れ歯)の清掃に気をつけ、定期的な「かかりつけ歯科医師」による口腔の健康管理が必要です。

口腔の健康管理・機能回復

患者さんと歯科医師が相談・協力をしあい(共生)より豊かな口腔機能の回復を目指しましょう。そして、人として生きる意志・生きがいの「食べる喜び」「話す喜び」の実感をお手伝いさせてください。それが歯科医師の「仕事」であり「生きがい」です。

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