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健康づくり

視界ゆがんでいませんか?

大阪府医師会 理事 北庄司清子

日本は世界で最も長寿の国になりました。ただし、人生が長くなるとともに眼の状態も徐々に機能が低下し、「物がゆがんで見える」「周囲は見えるが見たいものが見えない」など視界がはっきりとしない症状が出てくることもあります。そうすると日常生活に不便を感じることや、気分がすぐれないことも出てくるかもしれません。“自分もそうだ”といわれる方、ひょっとしたら、最近、増加しつつある「加齢黄斑変性症」かもしれません。気になる方はお近くの眼科を受診することをお勧めします。

加齢黄斑変性症は50歳以上の男性に多く(男女比3対1)、60〜70歳で最も多いと言われ、国内では約40万人の患者がいると推定されています。また、米国では成人の失明原因の1位となっています。

さて、この病気は、眼球奥の網膜(光を感じるところ)の中心部に位置する直径約2ミリの「黄斑」(視力に最も重要な部位)に異常をきたし、物を見ようとすると「ゆがんで見える」「周囲が見えても中心部が見えない」という症状が出てくるものです。

この病気には、「萎縮型」「滲出型」の2つのタイプがあります。「萎縮型」は加齢に伴って黄斑が萎縮し、進行がゆっくりで経過観察をすることになります。「滲出型」はタチの悪い血管(新生血管)ができることにより発症します。新生血管は非常にもろく破れやすいため、黄斑部に出血や浮腫などを生じ、症状が進行すれば視力が低下し、放置したままでいると最悪の場合、失明に至ることもあります。

これまで「滲出型」の治療は、新生血管に対するレーザー治療などが中心でしたが、新生血管の発生を防ぐ薬剤の開発が進み、最近では視力低下の進行を食い止めるだけでなく、視力改善が見られるケースもあります。

発症原因の最も大きなものは、年齢を重ねることにあります。また、生活習慣もそのひとつだといわれています。禁煙はもとより、外出時に紫外線を避けるための帽子、サングラスを身につけたり、緑黄色野菜を多く摂るなど食生活にも注意を払うことが重要です。

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