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健康づくり

放置してはいけない生活習慣病

大阪府医師会理事 小菓 裕成

最近「生活習慣病」や「メタボリックシンドローム」という言葉をよく耳にすると思います。この生活習慣病には高血圧症、糖尿病、高脂血症(高コレステロール血症)が含まれます。怖いのは、生活習慣病を放置しておくと心血管や脳血管の病気になりやすくなるからです。生活習慣病の3つの病気の内、1つの病気があると危険率はおおよそ2〜3倍、2つでは4〜5倍、3つともあると8〜10倍にもなります。死因の第1位はガンですが、心血管疾患は2位、脳卒中は3位であり、生活習慣病の予防や治療をしっかりすることが大切となります。これから冬になり寒くなると、虚血性心疾患や脳卒中を発症しやすくなります。

虚血性心疾患とは狭心症と心筋梗塞のことを言います。急性心筋梗塞は冠動脈が詰まる病気ですが、医学が進歩した現代でも死亡率が高い病気です。どちらも症状としては胸痛が有名ですが、みぞおちのあたりの痛みや肩こり、手のしびれといった場合もありますので注意が必要です。脳卒中には血管が破れて起こる脳出血やクモ膜下出血と、血管が詰まって起こる脳梗塞があります。脳卒中は言語障害や手足のマヒなどの後遺症が残る場合がありますが、寝たきりの原因の約1/3を占めますので、発症すると本人だけでなく家族にも大きな負担となります。また、水分不足になると脳梗塞になりやすいので、就寝前にコップ一杯の水分を飲むように心がけて下さい。

少し話は変わりますが、高齢になると気温の変化に鈍感になります。若者と高齢者を部屋に集め、室温を20度から徐々に上げていくと、若者は30度で暑いと感じるが、高齢者は40度でも暑いと感じないというデータもあります。高齢者の場合、冬でも熱中症になる場合がありますので、服の厚着や暖房のかけすぎには注意が必要です。のどが渇く前の水分補給が大切となります。

生活習慣病の予防や治療としては、食生活を見直すことも大事ですが、適度な歩行も重要です。歩行が困難な場合は、イスに座ったまま足を上げる運動をお勧めします。ひざの痛みや腰痛の改善効果があります。

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